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私は、バブル世代と呼ばれる年齢です。大した苦労もなくいい職に就き、のほほんと過ごしてそこそこの給料を得てきました。そのことが世間一般に批判的に見られていることは知っていました。私個人が石の礫で避難されるときが来ました。私の裁量で採用した部下が私の無能さに気付き、厳しく突き上げてくるようになりました。口がよく回るやつで、あらゆる部署で私の悪口(事実もあるが誇張もある)を吹聴しています。おかげで、以前は仲が良かった同僚とぎくしゃくし、私自身以前に増して仕事のやる気を失くしています。
考えてみれば、もともと仕事に対する情熱なんてありませんでした。自分に対する中途半端な自信で思いついたプロジェクトを何となく進め、当然のごとく暗礁に乗り上げても、後始末もせずに放置状態。何につけそんな感じなので、バブルなんてのは体のいい言い訳で、生まれもった性分というのが本当かもしれません。
前述の部下を初め、皆に迷惑をかけているのなら(そのように思われているのなら)そろそろ仕事の辞めどきかと、ここしばらく考えています。無理に自分に鞭打ってでも成果を上げ、周りから「かっこいい!」と思われるよう変身するのが、理想的な反応かもしれません。しかし、「仕事ができる切れ者」と思われることが、私にとっては無価値に思えます。そのような名誉は「男の勲章」と讃えられますが、ちっとも魅力的に感じません。
これは、私自身が「大黒柱として家族を支える」という一般的な男性のイメージとあまりにもかけ離れているからかな、と思います。周りを見ると、そんな一般的なイメージにかっちり合致する男性ばかりです。女性と恋に落ちて結婚し、子どもを設けて育て上げる、そのために嫌な仕事も立派にこなし(否「仕事大好き」の方が理想的か)、家族を養うに十分な稼ぎを上げる立派なお父さん。一時は憧れたこともあったけど、今は自分とあまりにもかけ離れた彼らとは一線を引きたい気分のときもあります。そうしてくたびれた姿の彼らを、劣等感の裏返しで侮蔑の目で見ているときもあります。上述の部下も、37にして二人の子持ち。強い口調で有無を言わさず妻子や部下を従える「漢」と呼ぶに相応しい男です。今の私は、彼や彼の仲間(というのは私以外のほとんど)と離れたい気持ちで一杯です。
こんな居心地の悪い場所に留まるのは、身体に悪い以外の何者でもないと思っています。辞めたら辞めたで、何かしらで金を得て、何とか暮らしていける気がします。今よりずっと情熱を注げる仕事に出会うかもしれません。ローン返済途中のマンションは手放さなければならないかもしれないし、大好きな旅行にも行けなくなるかもしれない。それでも、今よりましな気持ちになれるだろう。
このように考えながら、今一歩が踏み出せずにいます。できれば、同じような事情や考えで仕事を辞めた方の事後談を聞きたいです。どのように暮らしておられるか? 気持ちはどのように変わったか? もちろん経験されていない方の意見も聞きたいです。仕事場の周囲の人物の言葉は参考になりません。同じゲイの意見を聞きたいのです。
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